赤胴鈴之助


少年S(小学校低学年)は「どうしてもためしてみたい」ことがあった。

学校の帰り道、はるか後方からオートバイの音が聞こえてきた。

(1950年代の後半は、まだ車もオートバイも少なかった)

チャンスだ。胸がたかなる。

ふり向きたいのをがまんして、オートバイのを近づくのを待つ。

もう少し・・・

もう少し・・・今だ!

すぐ近くだ、Sは思いきってふりかえった。

車道へ出て走って来るオートバイの正面に立ち、

両手をつかい”うりゃー!”と叫んだ。

念願の『真空切り』をかけたのだ。

マンガで、悪人たちを『真空切り』で退治する

赤胴鈴之助はこどもたちのヒーローであった。

オートバイのおじさんはあわや転倒というところだったが、

必死に持ちこたえた。

こっぴどくしかられたが、赤胴鈴之助のマネということで、

おじさんも許してくれた。




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