バナナ


すごい、S(小学生)は喜んだ。

親類が大きなババナを届けてくれたのだ。

早く熟れさせる為、壁に掛けたまだ青々としている

バナナに父が新聞紙を被せた。

翌日か翌々日。Sはだれも居ないのをみはからって、

新聞紙のなかへ手を入れて一つをもぎとった。

うまかったかどうかは覚えていないが

「少しくらいならわからないだろう」

それから毎日、新聞紙のなかに手を入れた。

何日目かに強烈な腹痛にみまわれた。

Sは死ぬのでは思うほど苦しんだ。

父母も兄弟も、みんなが心配してくれた。

おかげさまでよくなったSに、父は

「大変だったなあ」とねぎらい、

「もう熟れてるだろう、最初に食べさせてあげる」

といって新聞紙をめくった。

その途端、父はビックリ仰天の顔になった。

もっと驚いたのはSの方だ、

「こんなにも食べていたのか!」

もちろん、父は一瞬にして全てを理解した。



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